vol.197【実践コラム】資本性ローンを活用した経営改善について

(毎週木曜日配信)財務編
銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー
尾川充広


…銀行借入れの呼び水として資本性ローンを活用しましょう

日本政策金融公庫が資本性ローンの取り扱いを開始してから久しくなります。
「既に利用している。」「商品名は知っている。」といった経営者様も多いと思いますが、「資本性ローンを知らない。」「上手な活用方法を知りたい。」といった経営者様もまだまだいらっしゃるようです。

資本性ローンの特徴は以下となります。

◆特徴その1
・返済方法は、5年超15年以内の期日一括返済です。
約定返済のない長期借入ですので、当初は赤字が見込まれる新規事業での利用や、経営改善の途上にあり、約定返済額を増やしたくない企業の利用が最適です。

◆特徴その2
・無担保、無保証です。また、仮に会社が倒産した場合、当該ローンは他の債務に劣後します。他の金融機関の融資判断に悪い影響を与えない借入です。

◆特徴その3
・業績に応じて0%代から6%代まで金利が変動します。業績が悪ければ金利が低く、業績が良ければ高くなります。ある種、配当の様です。金利として考えると6%代は高いように思えますが、配当コストと考えると許容範囲です。

◆特徴その4
・金融検査上は自己資本とみなされる借入です。債務超過に陥っている企業が、債務超過額以上の資本性ローンを借り入れた場合、瞬時に債務超過が解消したとみなされます。

経営改善の途上にある企業が資本性ローンを活用する最大のメリットは「特徴4」です。足元のキャッシュフローが回復しているにも関わらず、過去の赤字による債務超過がネックとなり、民間の金融機関から融資を受けられない状況にある場合、資本性ローンを活用して債務超過を解消すれば、民間の金融機関も融資をしやすくなります。是非、資本性ローンの活用についてご相談ください。

尾川充広(銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー)