vol.116【実践コラム】業績が悪くないのに融資を断られた企業様について

(毎週木曜日配信)財務編
銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー
尾川充広

…一度融資を断られると次に融資を受けるのが難しくなる場合があります

融資を断られる理由で最も多いのは、業績不振による赤字や債務超過です。断られるのは残念ですが、やむを得ない理由であり納得できます。しかし、業績が悪くないにもかかわらず、融資を断られるケースがあります。総合的な判断で・・・釈然としない回答です。

業績は悪くはないのに融資を断られた場合は、次に融資を受けるのが難しくなることがありますので注意が必要です。「業績が悪い」という理由で断られた場合は、「業績が良くなれば」融資を受けることが出来ます。業績が悪くないのに、「総合的な判断で」断られた場合は、何をどう改善すれば良いかが分かりません。まず、原因を突き止める必要があります。

■ 業績や財務内容以外で断られる理由
・前回の借入れから時間が経っていない。
・ノンバンク等からの借入れがある。
・過去に延滞がある。
・事業計画に無理がある。
・決算書に疑義がある。Etc

中でも特に厄介なのは「決算書に疑義がある」とされている場合です。金融機関には断った記録が残っており、前回断った理由が改善されない限り、次の融資も審査を通す訳にはいきません。決算書そのものが信頼されていないとなれば、改善の方法が無くなってしまうため、新たな融資を受けることが大変難しくなります。

利益があまり出ていないことを指摘された時に、「本当は儲かっているけど、わざと利益は少なくしています。」と答えたり、資産が少ない事を指摘された時に、「資産は個人で持っているので決算書には載せていません。」と答えたりした経験はございませんでしょうか。
いずれも審査をクリアするために良かれと思って答えたつもりでしょうが、全くの逆効果です。

金融機関は決算書で審査を行います。その決算書が正確に作られていないことを主張してしまっては、審査以前の問題になります。利益が出ているにもかかわらず「総合的な判断で・・・」と断られてしまった場合は、まず断られた原因を突き止める必要があります。
「融資を断られたが釈然としない」と感じた経験のある方はご相談ください。

尾川充広(銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー)