vol.557【実践コラム】経営改善について

…決断の遅れ、中途半端な改革は命取りになります。

(毎週木曜日配信)財務編
銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー
尾川充広

コロナウィルス感染拡大の影響により業績が大きく落ち込んだ企業様は少なくありません。過去のビジネスモデルが通用しなくなり、会社のかじ取りに苦しんでいる社長様は下記をご検討ください。

■ 資金調達もしくはリスケジュール

資金があれば時間を稼ぐことができます。将来的に返済をしなくてはならない資金ですが、可能であるなら資金調達を最大限行いましょう。資金調達が難しいのであれば、コロナ借換保証制度の活用やリスケジュールによる返済額の低減を実行しましょう。資金が底をつきそうになってからではなく、ある程度潤沢な資金がある段階で実行することがポイントです。リスケジュールを躊躇してはいけません。

■ 取引条件の交渉

ジリ貧の状態が続いており、明確な改善策も持ち合わせていないならば、思い切って、採算が悪い取引先の値上げ、売掛期間が長い取引先への早期回収、支払いの繰り延べ等、取引条件の交渉を行ってみてはいかがでしょうか。取引先に忖度せず、聖域を残さずに徹底的に行うことがポイントです。

■ 資赤字部門からの撤退

赤字部門から撤退すれば利益が残る、赤字幅が縮小するのであれば、売上規模が縮小することを恐れずに赤字部門から撤退しましょう。人員の削減等、痛みを伴う改革が必要になるケースが殆どですが、中途半端ではなく、ドラスティックに実行することがポイントです。

■ 新しい仕事の進め方・ビジネスモデルの構築

資金確保により一定の時間稼ぎに成功し、取引条件の交渉や赤字部門からの撤退により止血に成功したら、次は新しい仕事の進め方やビジネスモデルの構築に取り組みましょう。投資が必要な場合は補助金の活用も検討したいところです。

年間数千万円の赤字に陥った企業様の例です。ドラスティックな改革により売上や従業員が3分の1に激減したものの、赤字幅は年間500万円程度まで圧縮できました。また、リスケを行ったことにより数千万円の資金を手元に残すことができたため、このままの状態でも5年程度は持ちそうです。

現在は残された資金と補助金を活用した新しいビジネスモデルの構築に取り組んでいます。

資金なき経営改善は大変困難です。資金があるうちに決断しましょう。

尾川充広(銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー)