vol.545【経営コラム】時間は作れます!忙しいの謎!

…「136時間」「176時間」この数字が何か考えてください。

(毎週月曜日配信)経営編
GPC-Tax本部会長・銀行融資プランナー協会
代表理事 田中英司

忙しいとは?時間がないとは? この言葉にどのような意味があるのかわからなくなる数字です。

◆「136時間」「176時間」この数字が何か考えてください。

  • 前者は5月の定時間内就業時間です。
    (土日祝と5月2日・6日を休みとした時)
  • 後者は6月の定時間内就業時間です。
    (土日祝を休みとした時)
※令和4年度カレンダーより。
5月度の残業時間を40時間とするなら、6月度は残業無しです。5月度の残業時間を0時間とするなら、6月度は40時間時間が余ります。5月と6月の差をどう埋めているのでしょうか?
136時間を100とすると、176時間は129になります。実に40時間、29%も就業できる時間が違います。(業務量を同じとした時…)

◆「10,000時間」「80時間」この数字が何か考えてください。

  • 前者は勤続4年~6年の社員の累積勤務時間です。
  • 後者は2週間の勤務時間(定時内)です。
仕事が遅れている社員と、先手を打てている社員の仕事の進捗の時間差は、
せいぜい2週間です。4年~5年の社員にあてはめると、その差は0.1%以内です。なぜ0.1%分、2週間仕事を先行してできないのでしょうか?

■労働時間の短縮には、定休日を作ることが最善です。

◆「365日」「12日」この数字が何か考えてください。

  • 前者は年中無休の営業体制を指します。
  • 後者は月一回の定休日を指します。
月一回の定休日を設けるだけで、
3.3%営業時間(就業時間)を短縮できます。

◆「365日」「52日」この数字が何か考えてください。

  • 前者は年中無休の営業体制を指します。
  • 後者は週一回の定休日を指します。
週一回の定休日を設けることができれば、
4.2%営業時間(就業時間)を短縮できます。隔週の定休日を設けるだけでも、7.1%営業時間(就業時間)を短縮できます。

■給料が安いのか?高いのか?相対的に考えるための数字です。

◆「1,500円」「250,000円」この数字が何かを考えてください。

  • 前者はアルバイトの時給1,500円を指します。
  • 後者は約167時間(1か月定時就業時間)働いた時の月給です。月給25万円は払えても、アルバイトに時給1,500円を提示できない中小企業は少なくありません。どうしてでしょうか?

◆「2~3倍」「3倍~無限大」この数字が何かを考えてください。

  • 前者は同年代の一般社員と部長クラス(最上級管理職)の年収の差(諸説ありますが)です。
  • 後者は同年代(40~50歳)の能力の差です。比較的単純な業務のスピード差は3倍以上、そのできる業務の範囲の違いは、できるかできないか、無限大の差がついています。報酬にもっと差をつけるべきなのでしょうか?悩ましい事柄です。

■値上げと値引きについて考えるための数字です。

◆「3%」値上げの時「3%」売れ個数減でも売上は現状維持、かつ「1.5%」増益です。

◆「3%」値下げの時、「3%」売れ個数増で売上は現状維持、一方「1.5%」減益です。
※共に原価率は50%とし、販管費は固定費と考えた時。

値下げ・安売りの選択肢がいかに利益を圧迫するか?よく考えてください。

■継続がいかに重要か?を示す数字です。

◆「3年」「10,000時間」この数字が何かを考えてください。

  • 前者は「石の上にも3年」(ことわざ)
  • 後者は「10,000時間の法則」(マルコム・グラドウェル氏)
共に物事を一定以上習得するために要する時間の目安を指します。
貴社は新しいテーマに対して3年間継続して取り組めているでしょうか?中途半端は何一つ身に付かないようです。

※詭弁との批判を恐れずに書きました。各自ご判断ください。

田中英司 (GPC-Tax本部会長・ 銀行融資プランナー協会代表理事)