vol.538【実践コラム】創業・起業された方へ

…2回目の融資を受ける事を最初の目標にしてはいかがでしょうか。

(毎週木曜日配信)財務編
銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー
尾川充広

創業・起業時の資金調達手段として最もポピュラーなのは、日本政策金融公庫の創業融資や信用保証協会の創業保証です。一定の要件を満たせば誰でも利用できる制度であり、創業・起業時の資金調達環境は比較的整っていると感じます。

しかし、創業・起業は3年で7割が廃業するとも言われており、創業融資を受けて無事に開業できても、生き残るのは大変厳しい世界です。では、3年未満に廃業してしまう事業者と3年以上生き残れる事業者の違いはどこにあるのでしょうか。長年の経験から、生き残れるかどうかは、創業融資の次、2回目の融資を受けられるかどうかが決め手だと感じます。

2回目の融資を受けられる時期は、1期目ないし2期目の決算が終わった辺りですが、2回目からの融資は、創業融資のように要件の充足ではなく、業績(実績)が重視されます。

2回目の融資で最も重視される業績は売上です。創業して1年ないし2年が経っても一定の売上が立たない場合は、経営者の実力が不足している、もしくは提供している商品やサービスが市場から必要とされていないと考えられます。よって、2回目の融資を受けるためには売上が必須です。売上が立てば、一般的には月商の2カ月程度の融資を受けられる可能性が出てきます。

売上が立ったけれど赤字の場合はどうでしょうか。赤字の額にもよりますが、赤字だからといって絶対に融資を受けられない訳ではありません。損益分岐点に届かなかったため赤字だが、融資金によって損益分岐点を超える売上を獲得できると判断できれば融資をしてくれるはずです。

創業時にありがちなミステイクの一つは、本当は利益が出ているのに納税を嫌って意図的に業績の悪い決算にすることです。決算内容を悪くすることで、2回目の融資を断られる、もしくは少額に留まってしまうと、攻める経営ができない⇒低成長⇒さらに融資も出なくなるという悪循環に陥り、事業の拡大どころか段々と資金が細り遂には廃業ということになりかねません。

一方、納税を受け入れて利益をしっかり出した企業は、2回目のファインナンスにより事業を成長させることができ、その成長が更に大きな融資を呼び込みます。1期目もしくは2期目の決算処理を誤ることで、その後の姿が大きく変わるので気をつけてください。

創業・起業された方は、最初の目標を「2回目の融資を受ける事」に設定することで生き残れる可能性がぐんと高まります。2回目の融資を受けるために必要なことをひとつひとつ学んでいきましょう。

尾川充広(銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー)