vol.468【実践コラム】右腕の採用について

…どの分野を補完して欲しいか明確なイメージを持ちましょう。

(毎週木曜日配信)財務編
銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー
尾川充広

ある社長様から右腕になる人材が欲しいとのお話がありました。自分の右腕になる人材がいないというのは、多くの社長様が抱える課題ではないでしょうか。

一口に右腕と言っても様々なタイプがあります。どのような役割を期待しているかお聞きしたところ、「粗い情報を投げるだけで書類作成などを行ってくれる人かな。」と漠然とした回答が返ってきました。さらに絞り込んでいくと、社長様が望んでいるのは、経営計画書や銀行に提出する書類等をまとめてくれる人材であることが分かりました。

一般的に営業を得意分野とする社長様が多いためか、右腕と呼ばれている方は、経営企画や財務などを得意分野にしている方が多いように感じます。先述の社長様が望んでいる人材も、世間一般でいう財務部長に近いイメージです。

社長様が欲している人材は財務部長ではないかとお伝えしたところ、「もちろん財務部長という役職は聞いたことがあるが、実際どのような仕事をしている人かピンと来ない。」と打ち明けられました。確かに財務部長がいる中小企業は多くありませんので、その役割を明確にイメージしている方は案外少ないかもしれません。

財務部長の主な役割は、日々の資金繰り状況を管理するのはもちろん、税理士さんや経理がまとめた財務諸表を分析して改善策を講じたり、必要であれば資金調達やコスト削減等のアクションを起こすことです。中小企業の財務部長さんは、経営計画の取りまとめなども行っている場合があります。

前述の社長様は「欲しい人材のイメージが具体的になった。」とおっしゃっていましたが、経営者様によって思い描く右腕のイメージはそれぞれです。現場を任すことができる営業部長、戦略を描くことができる経営企画部長、人心掌握に長けた人事部長、資金の管理や調達を行う財務部長等、どの分野を補完して欲しいのか明確なイメージを持ちましょう。採用活動が明確になり、採用のミスマッチも減らすことができます。

尾川充広(銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー)