vol.368【経営コラム】規模の縮小を容認する計画を!

(毎週月曜日配信)経営編
GPC-Tax本部会長・銀行融資プランナー協会
代表理事 田中英司


…力不相応の膨張は百害あって一利なしです。

■拡大発想からの脱皮!

○例えば、従業員数は多い方が良いのか?
力があれば、たくさんの従業員を抱え、その雇用と教育機能を果たすことには大きな社会的意義があります。100人を雇用する会社よりも、500人の従業員を抱える会社の方がこの意味でははるかに立派です。ただし、力があれば、力相応の範囲で、この条件が付帯します。
力相応を越えた部分の雇用には、会社側も、雇用される側の従業員にも、様々は問題を内包することになります。

○例えば、店舗数は多い方が良いのか?
10店舗の高収益店舗と、5店舗の採算分岐点ギリギリの店舗の合計15店舗を経営する飲食企業と、10店舗の高収益店舗のみを経営する飲食企業、どちらが良い会社か?との意味です。
イメージとしては、前者は年商15億円、営業利益1億円、後者は年商10億円、営業利益1億円になります。

少なくない中小企業経営者が、従業員が多い方、規模が大きい方を我武者羅に目指しているように見えます。この考え方は、時に規模拡大至上主義を招きます。

■縮小を容認する計画を!

貴社が、上記のような考え方を長期間続けていたならば、一度発想を変えてみることをお薦めします。規模の縮小を容認する考え方です。

○例えば、どんどん人を増やして売上を作りに行くよりも、仕事を選別して増員を控える選択肢を用意することです。マネージメントは、その規模が小さいほど容易になります。

○例えば、収益の見込めない分岐点ギリギリの店舗は手放してしまう選択肢を用意することです。店舗数が減ると、マネージメントは容易になります。

規模の拡大には、力相応の拡大と力不相応の拡大があります。
言いかえると、自然に成長した拡大と、無理やり伸ばした拡大があります。後者には大きなストレスが伴っているケースが多いです。縮小を容認することで、会社に余力が生まれます。

■以下のような仮説が生まれます。

『日本の企業は規模の拡大にこだわり過ぎています。何が何でも規模を拡大しようとすると、規模を拡大するために多くの犠牲を払うことになります。経営上無意味な不採算事業や不採算顧客を過度に温存することになります。規模拡大至上主義は、分散症候群や安売り症候群を招く原因のひとつです。脱・規模拡大至上主義、縮小を容認する経営に移行してください。』

言うまでもなく規模は重要です。規模の縮小を容認する経営を長期間続けることは困難です。数年に一度、または、数年間に限定して、敢えて規模の縮小を容認する経営を導入してください。
今まで取り組んでいなかった会社様は、向こう数年間に限定して、敢えて縮小を容認する事業計画を立案して執行してください。経営が、会社が大きく変わります。

田中英司 (GPC-Tax本部会長・ 銀行融資プランナー協会代表理事)