vol.298【実践コラム】協調融資について

(毎週木曜日配信)財務編
銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー
尾川充広


…金額が大きいプロジェクト資金の調達に最適です

ひとつのプロジェクト資金を複数の金融機関で融資することを、「協調融資」と言います。
大企業が大型の資金調達を行うときに、金融機関がシンジケート団を組成して行うシンジケートローンが協調融資の代表例でしたが、現在では、中小企業でも、複数行が協調して融資を行うことが珍しくなくなってきました。

元々、金融機関は他の金融機関と積極的に連携を図ることはありませんでした。今でも、民間の金融機関同士が連携を図ることは殆どありませんが、日本政策金融公庫と民間金融機関は積極的に連携を図るようになっています。

例えば、公庫が単独では融資が難しいと判断した場合、担当者レベルで知り合いの民間金融機関を紹介してくれたりします。
また反対に、民間の金融機関が公庫に掛け合ってくれることもあります。

企業側の協調融資のメリットは、大きな金額を調達しやすくなる点です。少し無理をして大きな店舗を出店する場合など、金額面で金融機関が融資を躊躇することがあります。このようなケースでは、単独で全額を融資するのはNGでも、他の金融機関とリスクを分け合えるのであれば、融資は可能と判断してもらえることがあります。

ただ、金融機関同士の垣根が低くなったとはいえ、まだまだ担当者レベルの交流が主体のようです。上手くいけば協調相手の金融機関を紹介してもらえるかもしれませんが、基本的には自分で金融機関をコーディネートしなくてはなりません。

また、協調融資は、融資額を半分ずつ2つの金融機関に割り当てるよりも、どちらかの金融機関を主に据えて、不足部分をもうひとつの金融機関に割り当てる方が上手くいきます。金融機関への根回しが必要です。

弊所では、多数の地域金融機関と情報連携をしておりますので、協調融資のコーディネートをお手伝いすることが可能です。自社の実力に比べて、少し大きな設備投資を行う場合等はご相談ください。

尾川充広(銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー)