vol.123【お役立ち情報】「平成27年度税制改正」について

(毎週木曜日配信)財務編
銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー
社会保険労務士 今西章


…所得拡大促進税制の要件が一部緩和されます

平成27年度税制改正の内容が発表されました。
中小企業・小規模事業者の法人税関係でもいくつか改正される予定ですが、その中から「所得拡大促進税制の要件緩和」について見ておきたいと思います。

所得拡大促進税制は平成25年度に創設された制度で、
■青色申告している法人または個人事業主で、
以下の3つの要件に当てはまる場合は、基準事業年度と比較した給与等支給増加額の10%の税額控除(法人税額の10%(中小企業等は20%)を限度)の適用を受けることができる制度です。

【要件1】給与等支給額の総額が基準年度と比較して一定割合以上増加しているか。

役員を除き、国内に勤務するすべての雇用者に支給する給与総額が基準事業年度の給与総額と比較して2%以上増加していることが要件になります。

※基準事業年度とは、平成25年4月1日以降に開始する各事業年度のうち最も古い事業年度の直前の事業年度をいいます。

◇平成27年度の改正内容
改正前は、平成27年4月1日以降に開始する事業年度からは比較する割合が5%まで順次増加することになっていましたが、中小企業等の場合は3%の一定割合に緩和されます。

【要件2】給与等支給額の総額が前事業年度以上か。

役員を除き、国内に勤務するすべての雇用者に支給する給与総額が前事業年度の給与総額以上であることが要件です。

【要件3】給与等支給額の平均が前事業年度を上回っているか。

雇用者(雇用保険の一般被保険者)1人あたりの月割りの平均給与額が前事業年度の平均給与額を上回っていることが要件です。

※各事業年度の関係は次のようになります。
(例)平成26年12月期決算において適用しようとする場合
・適用年度 :平成26年1月から平成26年12月
・基準事業年度:平成25年1月から平成25年12月
・前事業年度 :平成25年1月から平成25年12月

■この税制は、平成30年3月31日までの期間内に開始する各事業年度(個人事業主の場合は平成30年12月31日までの各年)において適用できます。また、新設法人等で基準事業年度がない場合でも、基準事業年度の給与総額を事業開始年度の給与総額の70%とする特例があります。
給与等の支給額について一度3つの要件をご確認ください。

今西章(社労士 銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー)