vol.685【経営コラム】「ググる」の終焉とAIモードの台頭

…中小企業が今こそ取り組むべきSEOとWeb戦略
(毎週月曜日配信)経営編
GPC-Tax本部会長・銀行融資プランナー協会
代表理事 田中英司
インターネット検索の主役だったGoogle検索に、革命的な変化が訪れています。2024年以降、「AIモード」や「生成AIによる概要表示」が導入され、検索結果のあり方が大きく変わりつつあります。これまでのSEO(検索エンジン最適化)戦略に依存してきた中小企業にとって、この変化は「転機」であり「チャンス」でもあります。
■ なぜSEOだけでは不十分になるのか?
Google検索では、AIが複数のサイトを読み取り、自動的に要約を表示する「AI概要」機能が始まっています。これにより、ユーザーはサイトをクリックすることなく答えを得られるようになりました。
これまでのSEO対策では「検索結果の1ページ目に表示される」ことが最重要でしたが、今後は「AIに引用される情報になるかどうか」が新しい判断軸となります。
■ 中小企業が今すぐ実践すべき5つの戦略
●1.E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)の強化
AIは信頼できる情報を優先的に引用します。Googleも評価基準としてE-E-A-Tを明確にしています。
- 実名での執筆や監修者の記載(例:代表者のプロフィール)
- お客様の声、導入事例、失敗談も含めたリアルな体験談
- 自社の専門性を示す継続的な情報発信
●2.構造化データの活用と読みやすいページ設計
AIが情報を読み取るには「構造」が重要です。HTMLの見出しタグ(h2, h3)や表、箇条書きなどで論理構造を明確にしましょう。
- 見出しごとの情報整理
- 表形式での価格比較やサービスの特徴紹介
- Q&A形式のFAQセクションの整備
これにより、AIが「引用しやすい情報」として認識しやすくなります。
●3.マルチメディアを活用した発信
テキストだけでなく、動画や画像、音声といった多様な情報形式のニーズが高まっています。
- YouTubeに製品解説やお客様インタビュー動画を投稿
- InstagramやPinterestで視覚的に魅せる商品画像を共有視覚・聴覚で伝える情報は、ユーザーの記憶にも残りやすく、SNS拡散の起点にもなります。
●4.LINE公式やメールマガジンによる顧客の囲い込み
検索経由の集客が不安定になる中、「自社メディアでの顧客接点」を確保することが急務です。
- LINE公式でのキャンペーン配信、予約受付
- メールマガジンでのお役立ち情報提供、特典案内
- ポイント制度や会員限定の情報でリピート率を向上
1度つながった顧客と定期的に接点を持ち、LTV(顧客生涯価値)を高める戦略が重要です。
●5.Google以外の検索エンジンも視野に入れる
MicrosoftのBingやYou.comなど、AI機能を前面に出した検索エンジンが成長中です。
- BingはChatGPTをベースにした要約検索を導入済み
- 海外市場を狙う場合はYou.comなど新興検索も要注目多様な検索環境に備えることが、将来的なアクセス確保に繋がります。
■ 結論:SEOは「終わる」のではなく「進化する」
AIの進化により、「検索上位を取れば集客できる」時代は終わりつつあります。しかし本質は変わりません。「信頼される情報を提供する企業」が、AIにもユーザーにも選ばれるのです。SEOはテクニックではなく、「ユーザーとの信頼関係構築の手段」へと進化しているのです。
田中英司 (GPC-Tax本部会長・ 銀行融資プランナー協会代表理事)