vol.667【実践コラム】2025年度 中小企業施策利用ガイドブックについて

…最新の支援策を活用し、経営課題に先手を打つことが重要です。

(毎週木曜日配信)財務編
銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー
尾川充広

新年度に入り、中小企業庁から「2025年度 中小企業施策利用ガイドブック」が公開されました。
このガイドブックには、経営力強化や資金繰り、事業再構築、事業承継、創業支援など、あらゆる経営フェーズに対応した支援制度が一覧形式で整理されています。

「制度はたくさんあるけど、自分には関係ない」と思っていないでしょうか?
しかし、いざというときに頼りになる制度を知っているかどうかで、経営の打ち手には大きな差が出ます。支援策は“困ってから”ではなく、“困る前”に活用できるようにしておくことが重要です。

たとえば、金融分野では日本政策金融公庫や信用保証協会を通じた低利融資、セーフティネット保証、資本性ローンなどの制度が整理されています。これらは資金繰りが厳しいときだけでなく、成長資金として活用することもできます。

また、経営力の強化に関する支援も多彩です。専門家派遣や経営革新計画の認定支援、DXや事業再構築に関する補助制度も紹介されています。こうした支援は、補助金の取得だけでなく、銀行との信頼関係を築く材料にもなり得ます。

さらに、事業承継やM&A支援といった中長期的な課題への対策も強化されています。経営者自身の引退や世代交代が近づいている場合、早期にこうした制度を確認しておくことが大切です。

ガイドブックの中身はボリュームがありますが、「今の自社に関係あるところだけ見る」だけでも十分価値があります。必要であれば、当事務所に相談しながら読み解くこともおすすめです。

支援策を「制度」として眺めるのではなく、「経営の引き出しのひとつ」として持っておくと環境変化への対応力がまったく違ってきます。

中小企業向けの支援策は年々アップデートされています。せっかく用意された道具を使いこなすためにも、一度この機会にガイドブックをチェックしてみてはいかがでしょうか。

■2025年度版中小企業施策利用ガイドブック
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/g_book/2025/index.html

尾川充広(銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー)