▶vol.320【経営コラム】事業性評価融資で変わること、変わらないこと(その3)

2018年07月02日

(毎週月曜日配信)経営編
GPC-Tax本部会長・一般社団法人銀行融資プランナー協会
代表理事 田中英司


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 …事業性評価の良い事業、
  企業価値の高い事業とは何か?
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前回のつづきです。

事業性評価を行うアプローチは企業価値を
評価するアプローチと似ています。多くの
投資家から自社株の売買という洗礼を受け
続ける上場企業の例で解説します。
上場企業の企業価値(時価総額=株数×株価)は、その企業に対する事業性評価の結果です。

■例えば、以下の2社の企業価値は概ね同じです。

◆A社(マザーズ市場)
売上高(連結) 約20億円
営業利益    ▲12百万円

◆B社(東証1部市場)
売上高(連結) 約280億円
営業利益    770百万円(純利益215百万円)
時価総額=企業価値=約200億円です。
(平成30年6月初旬直近決算値概算)

上場企業の最終到達点企業価値は、概ね純利益の14~15倍※です。株式市場(投資家)は、この「A社B社の近未来の純利益が13~14億円までは届く」とみているようです。故に、現時点における企業価値約200億円を総意として容認しています。
〔※上場企業はその信頼性とリスク分散・流動性の担保により、14~15倍の将来利益が企業価値に織り込まれています。一方、未上場企業は、概ね3~5倍の将来価値を見込むのが一般的です。〕
「A社B社の近未来の純利益が13~14億円までは届く」、この見立てが変われば、株価は上にも下にも動きだします。
現に日々動いています。これが上場企業の株価です。
(※株価を構成する要素はたくさんあります。一つの考え方としてご理解ください。)

なぜ、売上高も利益も大きく異なるA社とB社の企業価値が近似しているのか?ここに事業性評価の考え方が組み込まれます。
「A社は、足元は悪いが、その事業立地やビジネスモデルが相当おもしろいので、近い将来相当利益を上げてくれるはずだ。また、経営陣も信頼できる。」このような評価が存在するはずです。
A社ほどではありませんが、B社に対しても、その安定性と成長性から高い評価を与えています。B社に対しても、市場は純利益の90倍以上の企業価値を容認しています。
足元の経営数値だけでなく、その事業の立地やビジネスモデル、成長性の実績を評価して、将来に対して総合的な企業価値を与える、これが上場企業に対する投資家の評価です。

■事業性評価の良い事業、企業価値の高い事業とは何か?

この疑問に対する解は多数ありますが、一つのアプローチとして以下の4つが挙げられます。
1.市場規模が適切で、(力相応)一番を狙える事業に取り組んでいる。
2.急成長市場に着眼して、(力相応)一番を狙える事業に取り組んでいる。
3.市場は縮小しているが、残り福(居残り一番)を狙える事業に取り組んでいる。
4.(大き過ぎない)市場を自らが創造できそうな事業に取り組んでいる。

「一番と二番の違いは、二番と百番の違いよりも大きい。」
船井総合研究所創業者、船井幸雄先生のお言葉です。一番になると利益が期待できます。また、それが成長市場であるなら、長期間にわたって続きます。故に、一番は偉大です。
一方、創業事業者や中小事業者が一番になるためにはどうすればよいか?これが事業立地の選定です。具体的には、『提供する商品やサービス、さらに受け手の顧客層の両方を絞り込む(Simple化)ことで、自社が一番になれる市場を創ること』を指します。創業事業者や中小事業者でも一番になる道はあります。

A社(マザーズ市場)は、AIを使って、巨人たちの隙間をつくある分野での一番を模索しています。故に、市場は高い評価を与えているようです。

一番になれる市場を創造してください。創業事業者や中小事業者でも一番になる道は必ずあります。そして、これこそが経営者に課せられた最大のミッションです。どこにでもある、誰でもやっている、何番目かわからないような事業からは脱却しましょう。そのためには、提供する商品やサービス、さらに受け手の顧客層の両方を絞り込むこと(Simple化)が重要です。

※銀行融資プランナー協会の正会員である当事務所は、クライアントに『お金の心配をできるだけしない経営を行ってもらう』ための新しい機能(=金融機関対応を含む財務の機能)を持つことを宣言いたします。我々は、『税理士』ではなく、『新・税理士』です。遠慮なくご相談ください。

田中英司 (GPC-Tax本部会長・ 一般社団法人銀行融資プランナー協会代表理事)


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