◆保証付き融資を2度断られた企業が3度目で融資を受けられた経緯

保証協会の保証付き融資は、審査をするのは保証協会ですから、基本的にはどこの金融機関から
申し込んでも同じ結果となります。今回は、保証付き融資を2度断られた企業が、数か月後に
別の金融機関で保証協会の承諾を得られた事例を紹介します。
弊所が財務部長を代行しているA社の事例です。

アパレル小売業を営むB社長は、

日本政策金融公庫の創業融資を受けて独立しました。
その後、当初の想定を上回る売上を計上したため、決算の1か月前に増加運転資金が必要となり、
日本政策金融公庫とX信用金庫に融資の相談をしました。
現在の業績と今後の業績見込みを説明したところ、どちらの担当者も前向きに相談に乗ってくれ、
日本政策金融公庫は追加融資、X信用金庫は保証付き融資を申し込むことになりました。
A社にとっては初めての保証協会利用です。

X信用金庫の担当者を通じて保証協会に打診した結果、保証協会からは
「前向きに検討が可能なので、1期目の決算書が出来上がってから本申込を入れてください。」
との回答を得ました。
一方、日本政策金融公庫は、「すぐにでも(決算前でも)追加融資が可能。」との回答です。

直近で借入がある場合、新たな融資を見送られるケースがあるため、日本政策金融公庫の融資を
先に受けても良いかをX信用金庫の担当者に相談しました。
回答は、
「日本政策金融公庫にも、融資の申込をしていることは既に協会にも伝えてある。問題は無いと
思うが、念のため、決算書に借入残が出ないよう来月1日に融資を受けてもらえないか。」
というものでした。
よって、X信用金庫の担当者の指示通り、決算月の翌月の1日に日本政策金融公庫から融資を
受けました。

それから1か月後、

X信用金庫の担当者が転勤になってしまいました。このX信金の担当者は、金融マンとしての
情熱とスキルを持ち合わせており、これまでも多くの関与先様の難しい融資案件を引き受けて
くださった方です。担当が変わってしまうことに不安はありましたが、
本件に関しては、
「決算内容も良く、保証協会の担当者も前向きでしたので多分大丈夫でしょう。」との見解を
もらっていたため、あまり気にしていませんでした。

さらに1か月後、

決算書が出来上がった時点で、後任の方を通じて保証協会に本申込を行いました。
断られることは想定していませんでしたが結果はNGでした。後任の方にNGとなった理由を
聞いても、「良くわかりません。」とあっさりしています。後任の方の経験が浅いため、保証協会
の本音を引き出すことが出来ないのか、もしくは、私との付き合いが浅いため、警戒して本音を
言ってくれないのか判断がつきかねましたが、NGになった理由を聞き出せなければ今後の対策を
打ちようがありません。
A社の業績が悪ければ、業績が理由であることは容易に推測できますが、業績は悪くありません
でしたので余計に不安です。断られる理由として考えられるのは下記です。

・直近で公庫の借入があり、これ以上の資金は不要と判断された。
・わずかではあるが、社長への貸付金が発生しており、これが問題視された。
・(個人信用情報など)自分も知らない決定的なネガティブ要因がある。    …etc

NGの理由が「直近で日本政策金融公庫から融資を受けているのでもう少し様子を・・・」という
ことであれば何ら問題ありません。しかし、勝手な誤解や勘違いがNGの理由として記録されて
しまうと、今後新たな融資を受けるのが難しくなる危険性があります。
A社にとっては初めての保証協会取引ですので、このような事態は避けたいところです。

B社は

好決算で1期目を終えたにも関わらず、保証協会の融資を断られてしまいました。
当方の説明不足による誤解や勘違いなどにより、思わぬことがNGの理由となっている場合、
今後保証協会の利用が難しくなる可能性があります。
何としても理由を探りたいと考え、懇意にしているY信用金庫を通じて再度申し込みを行いました。
結果は同じくNGでしたが、Y信用金庫の担当者からは、
「特別大きな問題があるようでは無さそうです。アパレル業界は苦戦しているところも多く、
まだ1期目が終わったばかりなので様子を見ているだけでは。」との見解を得ることができました。

中小企業にとって保証協会は大変重要です。

しかし、保証協会に対しては一般的に金融機関の担当者が案件説明を行いますので、金融機関
担当者の情熱やスキルで結果が変わってしまうことがあります。
本件に関しては、決定的なNGの理由がある訳では無い事が分かりましたが、日本政策金融公庫の
融資金額も含め、必要となる増加運転資金の根拠や、今後の業績見込みが本当に保証協会に
伝わっていたか疑問です。本件は、金融機関の担当者が本気で協会と交渉すれば、高い確率で
保証を受けられる可能性があると感じていたため、保証協会と新規取引を開始するために、
まず、プロパー融資を取り付けることにしました。
プロパー融資は金融機関に100%のリスクがあります。プロパーを出している金融機関から
保証を依頼されれば、保証協会は大した理由も無く保証を断るのは難しくなるためです。

複数の金融機関の中から、最も情熱とスキルを持っていると感じられたZ信用金庫の担当者に
照準を絞り、これまでの経緯と案件の説明を行いました。そして、保証協会との取引実績を
つくるため、短期でも少額でも良いのでプロパー融資を出して欲しい事をお伝えしました。
Z信金の担当者は当方の申し出を理解し、賛同のうえ前向きに融資の準備を進めました。

Z信用金庫は、A社の業績はもちろん、2期目ながら財務管理体制がしっかりしている点も評価し、
4年の長期プロパー融資500万円を実行しました。
その後、Z信用金庫が保証協会に掛け合った結果、ついに500万円の保証がおりました。
最初に断られてから数か月後のことです。

保証協会の審査は、基本的にはどこの金融機関から申し込んでも同じ結果になるはずです。
しかし、本件の場合、同じ決算期であるにも関わらず、X信金とY信金経由では断られ、
Z信金で承諾が得られました。要因は下記にあります。

・NGの理由が業績不振では無かった。
・案件のポイントがしっかりと保証協会の担当者に伝わっていなかった。

保証協会は直接交渉が出来ません。間に入る金融機関の担当者に、いかに一生懸命動いて
もらうかがポイントになります。担当者が説明しやすいよう資料を充実させるのは当然ですが、
それでも説明が上手い担当者とそうでない担当者がいます。
そのような場合、プロパー融資の有無が説明を補足する役割を果たします。

保証協会は金融機関から保証を依頼される立場です。
保証協会から見ると、「自分は全くリスクを取らずに保証だけを依頼される融資案件」と
「自分でも一定のリスクを取ったうえで保証を依頼される融資案件」は違います。
もちろん後者の方が保証協会も承諾をしやすくなる傾向があります。

一度でも融資を断られた場合、

やみくもに再審査を申し込んでも結果は変わりません。
断られた要因を分析し、新しい調達戦略を練り直す必要があります。
しかし、金融機関対応を熟知している企業様は多くないように感じます。
当事務所が貴社の財務部長を代行致します。ご活用ください。

 

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